プラナリア 山本 文緒 | 羊雲

プラナリア 山本 文緒

山本 文緒 『プラナリア』

久しぶりに山本 文緒さんの小説を読みました。山本 文緒さん、無職で微妙な恋愛状態か、家庭がイマイチな、まぁ、所謂、ダメな感じの女の人を書かせたら、すごい面白い本を書く作家の一人だと思います。この人の本では他にも『眠れるラプンツェル』 という話が好きで、それに似た話の短編集でした。

代わり映えのしない毎日とか、ちょっとしたアクシデントで崩壊する寸前の幸福とか、我侭ばかりの主人公とか、そういうものの書き方がとても上手いなぁと、感じるわけです。

感情表現の文法も、作者本人がそう思ってるとしか思えないくらい、直線的で、かつ、細部まで押し広げられていて、それでいて、どの話も主人公の性格はそれぞれで、登場人物が立っていました。まさに「よくこんな風に書けるなぁ」と思うのです。

でも実は私、この人の本で、『眠れるラプンツェル』 以外には、ピンと来ていなかったりします。どれも似た様な物といえばそうなのかもしれませんが、なんというか、主人公の心地よいダメっぷり?そのバランスが自分にあってるのかと。