廃用身 ほか | 羊雲

廃用身 ほか

さて、今回も羊姫のセレクトで、かなりすごい本を紹介されました。

「廃用身」 : 脳梗塞などの麻痺で回復の見込みの無い手足の事

さすが、羊姫はセンセーショナルな作品好きで、この本、結構参りました。いい感じに頭をバットで殴られた感じになりました。

老人医療の施設の医師が、廃用身となってしまったお年寄りの手足を切断してしまおう。というお話です。

というと、なんだか残酷な話に聞こえますが、そう頭ごなしに決め付けるものでもありません。この話を読んで頂ければご理解頂けるはずです。

物語の冒頭でも同じ様なくだりから始まりますが、この手のナイーブな話題に触れる時には、まぁ、そうせざるを得ないのでしょうね。

さて、これだけの情報だとなんだか気持ち悪そうって感じなので、じゃっかんネタばれですが、ちょっとだけ、そのメリットを紹介しておきます。

■老人介護の身体的負担を減らす
 お年寄りとは言え人間ですので重いらしいです。また、麻痺している手足が介護の邪魔になって、介護する方の負担になっているとの事。手足を切断してしまえば体重も軽くなるし、介護の邪魔になる事も無い。

■お年寄りの心の負担を減らす
 麻痺した手足は、お年寄りにとって相当心の負担になっているそうです。ちっとも動かなくてもリハビリに熱中してしまったり、勝手に動いたりするので生活をするにも、お年寄りにとって邪魔になります。これを切断してしまえば、気持ち的にも楽になれますし、動く方の手足を邪魔する事も無くなります。

と、ちょっとやっぱり残酷な感じがしますね…。私が書くとどうしてもこうなってしまうので、実際にこの本を読んで頂ければ納得できると思います。

さて、それにしてもちょっとセンセーショナルな話で、センシティブな問題ですね。手足の切断という事について考えると、どうもナイーブになってしまいます。この微妙で、なかなか光を当てられない社会の一部に対して、どの様な結論を出すのか。それがこの本の魅力です。後半、話の内容は加速度を増し、読者を最後まで引っ張っていきます。私は後半、最後まで止まれませんでした…。



石田 衣良さんの短編恋愛小説も読んでみました。

どれも、まぁ、結構いい話で…、羊姫はまぁまぁと言っていましたが、暴力もエロも無くてもそれなりに全部読めたので、まぁ、いい本かなぁと思っています。

あ、ちょっとエロがあったかも知れません。

結構、それぞれの恋愛話の設定がかわってて、それが非現実的だと映ってしまうと、アウトなのですが、私的には、まぁ許容範囲でした。読む人の現実と非現実のスレスレの部分を描くと、作品は面白くなるのだと思いました。



あと、こないだリュックベッソンプロデュースの YAMAKASI (ヤマカシ) も見てなかったなぁと思ってレンタルしてみました。

前評判はちょっと面白そうで、公開されたら「そうでもなかった」という話をよく聞いた作品でしたが、まぁ、う~ん、なんか普通でしたね。いや、CG 駆使してもっとすごいの見過ぎているから、どうも…。

というのと、あと話しもなんか強引というか、まぁ、映画として、ちゃんとした「お話」にはなているのですが、物語に無理矢理パフォーマンスを繋げた感じになってしまってまして、どうせなら、話はメチャメチャで、パフォーマンスをもっとかっこよく撮って、「どうだ?かっこいいでしょ?キミも鍛えればできるさっ」みたいな感じだったら、ヤマカシごっこをし始めるキッズが出始めただろうに…。と、なんか残念な気分になってしまう映画でした。