『フラグメント』 古処誠二 | 羊雲

『フラグメント』 古処誠二

これは参りました。久々のヒットかもしれません。というか、ちょっと残念だった田口ランディさんのエッセイの後に読んだので、面白く感じる気持ちに拍車が掛かったのかもしれません。

事故で死んだとされるクラスメートの葬式へ行く途中、震度7の震災が発生し、主人公達を乗せた車は地下の駐車場に閉じ込められてしまいます。そんな中で、不良グループのリーダー格、城戸が死んでしまい、主人公、優が推理を巡らせるお話です。

城戸は落盤によって死んだようですが、実際問題はっきりしません。優は城戸がクラスメートが死んでしまった事件の首謀者だと思っているので、こんな事故で死んで欲しくないのでした。

完全な暗闇、そして、密室で起きた事件は事故か殺人なのか、さらに、クラスメートの死は本当に事故なのか…。

…という話なのですが、読み始めたら最後まで止まれない展開の良さと、推理・心理の描写がものすごく上手く構成されておりまして、物語単体の面白さにアクセルをかけておるのです。まぁ、落ち着いて考えると結構、変なところがあるのですが、読んでる最中は気にしている暇が無い感じでした。まさにジェットコースター型の小説でした。

変なところは、昨今の学生なら、携帯の1つや2つ持ってるだろう事で、そうそう真っ暗闇になる状況ができない事とか、昨今の学生なら、かばんに菓子の1つや2つ持ってるだろう事が予測されるが、誰も非常食になるようなものを持っていない事とか、最後まで読むと分かりますが、主人公が実は何も解決していない事とか…。まぁ、結構あるのですが、物語を成立させるための制約条件みたいなものなので、この辺は、いたし方無いかなぁと妥協してしまいました。だって、面白かったから。

えーっとそんな感じの小説でした。これは久々に本当にお薦めです。

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